同居、別居にかかわらず、高齢の親を支える家族が知っておきたいことの一つに「介護サービス」があります。
「買い物に行くのが難しくなってきた」
「掃除ができなくなってきた」
「一人でお風呂に入るのが心配」
「通院に付き添ってほしい」
「物忘れの症状があり、一人にしておくのが不安」
親の生活を支えるために、家族が手助けする場面も増えてきます。
でも、親のことだからといって、家族だけですべてを抱える必要はありません。

他人の世話にはなりたくない!
そんなふうに考える親御さんもいるかもしれません。
でも、介護サービスを利用することは、家族が親の面倒を見なくなることではありません。
家族以外にも、親のことを気にかけてくれる人が増えるということ。
それは、本人にとっても家族にとっても、心強いことだと私は思っています。

私は介護の仕事をしているから、始めは全て自分がやらなきゃって思っていてしんどかったわ。
親のことだからと言って、子供が全てやろうとしてしまうと自分の生活にも影響してしまいます。
家族だけで抱え込まず、利用できるサービスを上手に頼っていきたいものです。
介護サービスには、介護保険を利用する「介護保険サービス」と、介護保険を利用せずに自費などで利用する「介護保険外サービス」があります。
介護保険サービスはとても心強い制度ですが、サービスを利用できる人やサービスの内容に一定の条件やルールがあります。
介護保険を利用できる条件や、利用する時の流れもお話しさせていただきますが、合わせて知っておいてほしいのが、介護保険外サービスです。
この記事では、介護保険サービスと介護保険外サービスの違いや、それぞれでできること、利用料金、どんなときに介護保険外サービスを検討するとよいのかを、できるだけ分かりやすく紹介します。
介護保険サービスとは?
「介護保険サービス」は、介護が必要になったときに、介護保険を使って利用できるサービスです。
40歳以上の人が加入する介護保険制度を利用し、要介護・要支援の認定を受けた人などが、必要なサービスを利用できます。

なんかもうややこしいのう。

そうね、なるべくわかりやすく説明するわね。
介護保険サービスには、自宅で受けるもの、施設に通って利用するもの、泊まりで利用するもの、施設で生活するもの、地域での生活を支えるものなど、さまざまな種類があります。

※ここでは主なサービスを大きく分けて簡単に紹介しています。

介護保険で受けられるサービスってこんなに色々あるんだ。

そうなの。自宅で暮らしながら利用できるサービスもたくさんあるのよ。
ただし、ここで注意したいのが、介護保険は高齢者であれば誰でも受けられるものではない。そして、困っていることを何でもお願いできるわけではないということ。
介護保険サービスには、それぞれ利用できる条件やルールがあります。

困ってることをお願いしたら何でもやってくれるんじゃないの?

介護保険には、利用できる条件やルールがあるのよ。できることと、できないことがあるので後で詳しく説明するわね。
では、どのようにして介護保険サービスを利用するのでしょうか。
介護保険サービスを利用するには?
介護保険サービスを利用するには、まず要介護・要支援認定を受ける必要があります。
「親の介護が必要かもしれない」と感じたら、本人が住んでいる地域の地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口に相談してみましょう。
要介護認定の申請をすると、訪問調査や主治医の意見書などをもとに、介護や支援がどのくらい必要な状態なのかが判定されます。
認定結果は、大きく
- 要支援1・2
- 要介護1~5
- 非該当(自立)
などに分かれます。
要支援・要介護と認定されると、状態に応じて介護保険サービスを利用できます。

おいおい!ワシはまだ介護なんていらんよ。トイレだって自分で行けるし、ご飯も自分で食べられる。

買い物も、ご飯を作ってるのも私ですが。私が留守にしたら誰が作るんですか?

・・・・・・
介護というと、自力で歩行ができない、トイレに行けない、食事をするのが難しいというようなイメージを持たれる方も多いかもしれません。
介護が必要かどうかはトイレや食事などの日常動作だけで決まるわけではありません。
ただし、認定されたからといって、すべての介護保険サービスを自由に利用できるわけではありません。
介護度や本人の状態、生活環境などに応じて、必要なサービスを組み合わせて利用します。
そのため、介護保険サービスを利用するときは、ケアマネジャーなどに相談しながら、ケアプラン(介護サービス計画)を作成してもらい、必要なサービスにつなげてもらいます。
「最近、以前よりできないことが増えてきた」
「家族の負担が大きくなってきた」
「このまま一人で生活して大丈夫かな?」
そんなときは、まず地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談してみましょう。
介護保険で利用できる主なサービス
介護保険では、本人の状態や必要な支援に応じて、さまざまなサービスを利用できます。
「自宅で生活を続けたい」「日中だけ施設に通いたい」「家族が介護から少し離れて休みたい」「施設で生活したい」など、希望する生活によって利用するサービスも変わります。
大きく分けると、次のようなサービスがあります。

※ここでは主なサービスを大きく分けて簡単に紹介しています。
① 訪問系サービス
自宅で生活する人のもとへ、介護職員や看護師などが訪問して支援します。

ワシは家が一番じゃ。介護が必要になっても住み慣れた家で過ごしたいのう。

そんなおじいちゃんには、自宅に来てもらう訪問系サービスがあるよ。
訪問介護や訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリテーションなどがあります。
② 通所系サービス
施設などに通って、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けます。

お父さん、たまには外に出て体操でもしてきたら?

ワシはまだまだ元気じゃ!

介護が必要になった人だけじゃなくて、今の生活をできるだけ長く続けるための介護予防のサービスもあるのよ。
デイサービスや通所リハビリテーションなどがあります。
要支援の人などを対象にした、介護予防を目的とした通所サービスもあります。
③ 短期滞在系サービス
一時的に施設に宿泊して、介護や生活の支援を受けるサービスです。
家族の介護負担を軽くしたり、介護をしている家族が用事や休息の時間を確保したりするためにも利用されます。

最近おじいさんのお世話でちょっと疲れちゃったわ。

ショートステイを利用するのもいいんじゃない?お父さんに数日泊まりに行ってもらおう!
ショートステイなどがあります。
④ 施設のサービス
自宅での生活が難しくなった場合などに、施設で生活しながら介護や生活の支援を受けるサービスがあります。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院、特定施設など、施設によって役割や入所・入居の条件が異なります。

施設なんぞ、まだ早いわ!

施設にもいろいろあるのよ。必要になったときに慌てないように、どんなところがあるのか知っておくのも大事なのよ。
⑤ 地域で生活を支えるサービス
住み慣れた地域で生活を続けられるように、地域の特性や本人の状態に合わせて支援するサービスもあります。
小規模多機能型居宅介護などが代表的です。

小規模多機能って、通うだけじゃなくて、家に来てもらったり泊まったりもできるの?

そう。生活の変化に合わせて柔軟に使えるサービスもあるのよ。
※地域密着型サービスは小規模多機能以外にもさまざまな種類があります。
ここまで見ると、「介護保険って、かなりいろいろなことをしてくれるんだ」と感じるかもしれません。
ただし、介護保険なら生活上の困りごとを何でもお願いできるわけではありません。
介護保険サービスには条件やルールがあります
介護保険にはさまざまなサービスがありますが、困っていること全てに対応してもらえるとは限りません。
介護保険は、本人ができることを大切にしながら、介護や支援が必要な部分をサポートするための制度です。
そのため、利用できるサービスや内容には一定の条件があります。

じゃあ、今までわしの仕事だった庭の草むしりや植木の剪定も頼めるんじゃな?

そこはちょっと違うのよ。介護保険でできることには決まりがあるのよ。

なんじゃ、できんのか。じゃぁ、室内の掃除ならいいのか?窓拭きや換気扇の掃除なんかやってもろたら婆さんも助かるな。

大掛かりな掃除や、同居家族のお手伝いなんかもできないんよ。

介護保険は『家事を全部やってくれるサービス』じゃなくて、介護が必要な部分を支えるものなんだよね。

そうなの!
介護保険サービスを利用するときには、たとえば次のような点が関係します。
- 要介護・要支援認定を受けているか
- そのサービスが介護保険の対象になっているか
- 本人にとって必要な支援なのか
- 要介護度や本人の状態に合ったサービスなのか
- ケアプランに位置づけられているか
- 同居家族の状況などによって、利用できる内容に制限がないか
また、同じ「掃除」でも、本人の生活に必要な部分を支援するための掃除なのか、家族のための家事なのかによって、介護保険で利用できるかどうかが変わることがあります。

じゃあ、私のスペースまで一緒に掃除してもらうのは難しいのね。

そういうこと。介護保険は、あくまで介護が必要な本人を支えるための制度だからね!

でも、おばあちゃんひとりで全てするのは大変そうじゃない?

そうなのよ。だからこそ、介護保険で対応できない困り事は、ほかの方法も考えていくことが大切なのよ。
介護保険外サービスとは?
介護保険外サービスとは、介護保険制度とは別に、自治体や民間企業などが提供するサービスです。
サービスの内容や利用条件、料金は事業者によって異なります。
介護保険サービスでは対応しにくい生活上の困りごとを補うために利用することもあれば、介護認定を受けていない人が、家事や買い物、見守りなどの支援を受けるために利用することもあります。
要介護認定を受けていなくても利用できるサービスが多く、「介護認定は受けていないけれど、ちょっと困っている」という人にも利用しやすいのが特徴です。

私はまだ介護認定を受けるほどじゃないと思うんだけど、離れたところに買い物に行ったり、重い荷物を持ったりするのはちょっと大変なのよね。

そういう時は介護保険外サービスの会社から探すのも選択肢の一つだね!

あんたにばかり用事を頼むのも申し訳ないからね。
高齢になると、これまで自分でできていた買い物や家事などが、少しずつ負担に感じることがあります。
だからといって、すぐに「介護が必要」というわけではありません。
そんなとき、家族だけで頑張るのではなく、できることは自分で続けながら、難しくなった部分だけを誰かに手伝ってもらうという方法があります。

じゃあ、おばあちゃんみたいに『介護は必要ないけど、ちょっと手伝ってほしい』という人も利用できるんだね。

そうそう。反対に、介護保険サービスを利用している人が、介護保険では対応できないことをお願いするために利用することもあるのよ。
介護保険外サービスにはどんなものがある?
介護保険外サービスには、事業者によってさまざまなものがあります。
たとえば、
- 見守り
- 掃除・洗濯・料理などの家事
- 買い物
- 通院や外出の付き添い
- 送迎
- 食事の準備
- 草むしり・庭の手入れ
- 訪問美容
- 話し相手
- 郵便物の受け取りなどのちょっとした生活支援
などです。
さらに、事業者によっては、介護資格を持つスタッフによる介護や身体介護に対応しているところもあります。

なんじゃ、介護まで頼めるところもあるのか?

そうなの。ただし、介護保険外ならどの会社でも介護をお願いできるわけではないから、対応できる内容は事業者ごとに確認が必要だよ!

同じ『介護保険外サービス』でも、できることは会社によって違うんだね!
何をしてもらえるのか?どこまで対応してくれるのかを確認することが大切です!
介護保険外サービスと一般の家事代行は何が違う?
介護保険外サービスには、掃除・洗濯・料理など、一般的な家事代行と似たサービスもあります。
では、普通の家事代行とは何が違うのでしょうか?
大きな違いは、「誰のために、どんな支援をするサービスなのか」という点です。
一般的な家事代行は、年齢や介護の必要性に関係なく、家事を代わりに行ってもらうサービスです。
一方、介護保険外サービスは、高齢者やその家族の生活を支えることを目的としたサービスが多く、事業者によっては見守りや通院・外出の付き添い、介護資格を持つスタッフによる支援などにも対応しています。
ただし、介護保険外サービスの内容は事業者によってかなり違います。

なんじゃ、普通の家事代行でも掃除してくれるんじゃろ?

そうよ。だから、掃除や料理だけなら、一般の家事代行でも利用できる場合がある わね。

でも、高齢者向けのサービスなら、見守りや付き添いなど、高齢者の生活を支えることを考えたサービスが見つかりやすいんだよね!
たとえば「食事の準備」ひとつをとっても、若い人と高齢者では必要なサポートが違ってくることがあります。
高齢者の場合は、
- 食べやすい硬さや大きさにする
- 食べられる量に合わせる
- 栄養バランスに配慮する
- 食事制限などに配慮する
など、本人の状態に合わせた調理や食事のサポートが必要になることもあります。
また、サービスによっては、買い物の付き添いや通院の付き添い、見守りなど、高齢者の生活を支えるためのサービスを組み合わせて利用できることもあります。
さらに、事業者によっては、介護の知識や資格を持ったスタッフが対応し、介護そのものをお願いできる場合もあります。(ただし、対応できる内容は事業者によって異なります。)
「家事をしてもらえればいい」のか、「高齢者の状態に合わせた支援までお願いしたい」のかを考えながら、必要なサービスを選ぶことが大切です。ことですよね。
介護保険外サービスを利用するときの注意点
介護保険外サービスは、介護認定を受けていない人でも利用できたり、介護保険では対応しにくい生活上の困りごとをお願いできたりする便利なサービスです。
一方で、介護保険サービスとは違って、サービス内容や料金、利用条件などは事業者によって異なります。
利用する前に、次のような点を確認しておきましょう。
① 何をしてもらえるのか確認する
「家事代行」「高齢者支援」「生活支援」と書かれていても、できることは事業者によって違います。
掃除や買い物だけでなく、見守り、外出・通院の付き添い、身体介護などに対応している事業者もあります。
「やってもらえると思っていたのに、対象外だった」ということがないように、お願いしたいことを具体的に伝えて確認しましょう。
② 料金だけでなく、追加料金も確認する
介護保険外サービスは基本的に全額自己負担です。
基本料金だけでなく、
- 交通費
- 延長料金
- 時間外料金
- キャンセル料
- 入会金・登録料
などがかかる場合もあります。
③ 介護にも対応できるか確認する
「高齢者向け」と書かれていても、すべての事業者が介護を行えるわけではありません。
食事・排泄・入浴などの身体介護をお願いしたい場合は、対応できる事業者なのか、資格を持ったスタッフがいるのかなどを事前に確認しましょう。
④ 事業者の信頼性を確認する
介護保険外サービスは、民間企業や地域の事業者など、さまざまなところが提供しています。
利用前には、
- 会社や事業者の情報
- スタッフについて
- サービス内容
- 料金体系
- 利用規約
- 個人情報の取り扱い
- キャンセル時の対応
などを確認しておくと安心です。
特に、自宅に入ってもらうサービスや、高齢者本人を一人で預けるようなサービスの場合は、慎重に選びたいところです。
⑤ ケアマネジャーにも相談してみる
介護保険外サービスだからといって、ケアマネジャーに相談してはいけないわけではありません。

介護保険じゃないから、ケアマネさんには関係ないわよね?

そんなこともないよ。担当のケアマネジャーさんに『こんなことで困っている』と相談してみるのもいいよ。
介護保険サービスと介護保険外サービスを組み合わせることで、本人の生活や家族の負担に合わせた支援を考えやすくなることもあります。
ただし、介護保険外サービスそのものをケアマネジャーが手配してくれるとは限らないので、そこは事業者に確認しましょう。
介護保険サービスと介護保険外サービスの違い
介護保険サービスと介護保険外サービスは、どちらが優れているというものではありません。
介護保険サービスは、介護が必要になった人の生活を支える公的な制度。
一方、介護保険外サービスは、介護保険では対応しにくい生活上の困りごとなどを補う選択肢のひとつです。

どちらも『困っていることを誰かに手伝ってもらう』サービスだけど、利用方法や内容が違うんだね。

そうそう。大切なのは、介護保険か保険外かを先に決めることじゃなくて、まず『何に困っているのか』を考えることなのよ。
比較するとこんな違いがあります
| 介護保険サービス | 介護保険外サービス | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 介護・支援が必要な人の生活を支える | 生活上のさまざまな困りごとを支える |
| 利用条件 | 原則、要支援・要介護認定などが必要 | サービスによって異なる |
| 費用 | 原則1~3割の自己負担+対象外費用など | 原則全額自己負担 |
| サービス内容 | 介護保険制度で定められた範囲 | 事業者によってさまざま |
| 利用方法 | ケアマネジャーなどに相談して利用することが多い | 事業者へ直接申し込む場合が多い |
| 利用できる内容 | 本人に必要な介護・支援が中心 | 家事、見守り、付き添いなど幅広い |
| 介護への対応 | 制度内で対応 | 介護に対応している事業者もある |
※実際の利用条件や費用は、サービスの種類や自治体、事業者によって異なります。
まとめ|親の困りごとを家族だけで抱え込まないために
介護保険は、介護が必要になったときに頼りになる制度ですが、すべての困りごとに対応できるわけではありません。
そんなときに選択肢のひとつになるのが、介護保険外サービスです。
介護保険外サービスは、介護保険制度とは別に利用できるサービスなので、介護認定を受けていない人でも利用できるものがあります。
また、サービスによっては、介護保険の申請や認定を待たずに利用できたり、急な困りごとにも対応してくれる場合があります。
「まだ介護保険を使うほどではないけれど、買い物や家事がちょっと大変」
「退院したばかりで、明日からの生活をどうしたらいいかわからない」
「介護保険では頼めないことを誰かに手伝ってほしい」
そんなときにも、介護保険外サービスが役立つことがあります。
介護保険を利用している人も、介護保険外サービスを組み合わせて利用することができます。
大切なのは、「全部を家族で頑張らなければ」と思わないこと。
できることは自分で続けながら、難しくなった部分は誰かに手伝ってもらう。
そんなふうに、介護保険や介護保険外サービスを上手に使いながら、親も家族も無理なく暮らしていける方法を探してみてください。
介護はある日突然始まることもあります。
「こんなサービスがあると知っていたら、もっと早く頼めたのに」
そうならないためにも、困ったときに慌てないよう、今のうちから介護保険サービスと介護保険外サービスの両方を知っておくと安心です。

家族ばかりが頑張らなくてもいいんよ。



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